沢雷随(たくらいずい)
六四卦十七番目に位置するのが、沢雷随(たくらいずい)。長男☳震卦(しんけ)の上に末娘 の幼い女の子☱兌卦(だけ)が乗っかった形になります。
上卦は、兌卦☱(だけ)です。兌卦(だけ)は陽爻を下に陰爻を上に据えた沢を表し、家族においては 末娘 三女を表しています。
下卦は震卦☳(しんけ)です。震卦は陽爻1段の上に陰爻が2段乗った形で、家族においては、長男をあらわします。八卦においては雷を表しています。
兌卦(だけ)は末娘を表し、幼い女の子の喜ぶ姿です。沢のほとり、川のほとり、海辺で細い足を濡らしながら、きゃっきゃと遊ぶ末娘をみつめながら付き従うのが、歳のはなれた長男で傍目に見れば、親子ほど離れた歳の差があっても、
天地の父母のもとに生まれた兄妹であり、幼い女の子が遊ぶ姿を、見つめ、手を取り、楽しげに遊び、絶えず、危険な目似合わないように付き従い、安心安全な状態に目を配らせながら、親の代わりに末娘の言うことを心優しくしたがっている兄さんがいることで、何の躊躇いもなく遊び喜んでいるのが、沢雷随(たくらいずい)です。
それは、兄が妹を大事に思いながら、親が子を思う愛とは違って、兄が妹を愛おしく思い、大事にしている愛であり、妹もまた、安心の中に守られテイル安らぎの中で、親にはいえなくても兄にはつい何でも言ってしまう、兄妹としての愛のひと時といえます。
それは、かわいい妹が「お兄さん抱っこして、」といえば、嫌な顔もせず抱っこしたり、「お兄さん、あれ取って」と言われれば、ニコニコしながらしたがってしまう愛があるがゆえに行う行動です。
随とは、
随とは、付き従うと言う意味を持っています。この沢雷随(たくらいずい)の随は何かに従う気持ちを持って、行う行動です。人に従う、環境に従うと言っても目的もなく漠然とすることではなく。自主性を持ち、どんなことに対しても、無理やり従うのではなく。その時その時に喜んで従う。心の中に喜びを持って行なっている様をいいます。自分にはわからないことがあるので、素直に従う、そこには、我を張ることがなく、身を委ねる心の余裕を持って行います。
沢雷随(たくらいずい)のイメージ
随。元亨利貞。无咎。
「随」の時、大いに通じる。貞正であれば良い。天意に従え。
人に従うか、事情に従うかによって結果は変わってきます。
人の心は、善より悪に傾くことが多いため、環境を悪くしてきました。何に従うかという時、天意に従うとは、善に従えということです。善に従うためには、日々、コツコツと善を行うことです、そこで初めて、善悪の判断ができます。しかし、悪は、毎日コツコツ小さな悪さでも、とりかえしのつかない事態を引き寄せます。
心に不安が起こるのは、悪が多くあることを表しています。
沢雷随(たくらいずい)の六爻
沢雷随(たくらいずい)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陰、四陽、五陽、上陰と並んだ状態を沢雷随(たくらいずい)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 離散しようとする人、心を固く繋(つなぎ)ぎ止めなければならない。文王は西山(せいざん)で天を祀り、民心(みんしん)を繋いだ。
五陽 高貴な身で誠意を持って善に従うのであれば、吉
四陽 天使に随(したが)う身でありながら、名声を集めて権力をほしいままにする、たとえその行いが正しくとも、凶。誠意を持って道を守り、謝らなければ、何の咎めもない。正しく祈り求めよ
三陰 小人を遠退け君子に寄り添い、積極的に従えば、受け入れられる。ただし、こびへっらってはいけない。
二陰 小人と慣れ親しんでいると、真に従うべき君子から見捨てられるだろう。二兎おうべからず。
初陽 これまでの仕事が様変わりする、それでも初志を貫けば、 吉 親類縁者の狭い縁から離れ、広く人々と交われば成功する。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |