坎為水(かんいすい)

六四卦二九番目に位置するのが、坎為水(かんいすい)となります。坎為水(かんいすい)が表す卦は、䷜、陰爻の上に陽爻、そして陰爻と陰爻で陽爻をサンドした形が坎卦になり、下卦が坎卦 上卦、坎卦といった形になります。この形は、陰爻という母性が、陽爻を包み込んだ形であるため、母の愛が子を包み微笑む姿であるといえます。
しかし、こうした愛情を受けた坎卦ではありますが、象徴語は、水、はらむ、惑溺(わくでき)流出、冷淡、危険、といったことを表します。それは、水は人を活かす存在でありながら、大水、洪水において言われるように多くを含むと死と直結する存在だからでもあります。活かすも殺すも水の扱い方で方向は大きく変わります。坎卦が上卦、下卦合わさることで力は、二倍、三倍と増えるため、四大難卦といわれる卦であります。
四大難卦
3番 屯(ちゅん) 水雷屯(すいらいちゅん)
29番 習坎(しゅうかん) 坎為水(かんいすい)
39番 蹇(けん) 水山蹇(すいざんけん)
47番 困(こん) 沢水困(たくすいこん)
坎為水(かんいすい)のイメージ
習坎。有孚。維心亨。行有尚。
「坎」の時。非常な困難の中にあっても、誠の心を貫きとおせば通じる。進んでいけば尊敬される
イメージするものは、救いがない 底知れない不安 一難去ってまた一難
坎為水(かんいすい)は坎卦が重なり合ってでき卦です。上にも下にも水があり、ゲリラ豪雨のような卦であると言えます。ゆえに坎卦は険難、艱難をうける卦と言えます。こういった一難去ってまた一難、

泣きっ面に蜂といった災難、艱難をどう越えるのかという真意が問われる立場を表し、そのまま泣き崩れるのか、はたまた、そういった苦労を自分の人生の肥しとして、自らを鍛える勇気にかえるのか、何事にも勇気をもってすすむ勇敢さが問われています。
しかし、愛を受けて育つ坎卦の芯のつよさにより真を貫けば、尊敬されるのです。沈むばかりの船でも、身を挺してこそ浮かぶ瀬もあるわけです。

坎為水(かんいすい)の六爻
坎為水(かんいすい)の六爻、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陽、三陰、四陰、五陽、上陰と並んだ状態を坎為水(かんいすい)と言います。

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陰 ギリギリアウト。何もかも巻き上げられて、牢獄につながれ、三年のにわたり、苦汁をなめるが誠意をもって耐え抜け 凶

五陽 険難、艱難はまだ終わっていない。万事平穏になるのを待ち、静まり返ってから動き出せばお咎めを受けることはない。

四陰 脱出の得策を考える時、儀礼を尽くし、質朴に、意見を求められたら簡素に行えば、上司、君主に通じるので、最後はおとがめを受けることはない。

三陰 前門に虎、後門には狼 進退きわまる。身には手枷(てかせ)足枷(あしかせ)をはめられ、穴に落とされ、何を行っても効果が現れない。悪あがきせず冷静に時を待て、

二陽 危険に陥って大変に苦労する。容易に脱出できないが、状況を冷静に判断し、真摯に努力すれば道が開ける。どんな状況でも行く道はある。

初陰 穴に陥って脱出の方法が見つからず混乱して、凶

六四卦 リスト
