天水訟(てんすいしょう)

六十四卦六番目に位置するのが、天水訟(てんすいしょう)となります。天水訟(てんすいしょう)は、次男、坎 ☵の上に、父、乾☰がのっかった卦です。

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上卦の乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、家族の中では父を表し、八卦においては、天を表します。

下卦は、坎卦☵(かんけ)です。坎卦は、陰爻で、陽爻を挟んだ形となり、家族の中では、次男を表し、八卦においては水をあらわします。

上卦の乾卦(けんけ)は天であり、父である、その父を越えようともがいているのが、下卦は、坎卦(かんけ)と言えます。乾卦(けんけ)は、天であって、広く周りを見渡し、空から雨も降らせ、坎卦(かんけ)としての次男の力の基としての水を与えていますが、

そういったエネルギーの基を与えられていることを当たり前と思い、若い次男は、自分の肉体に余りあるエネルギーを父親にぶつけて争うことを求め、天に争いを仕掛けます。

しかし、乾卦(けんけ)の性質は、陽中の陽であり、与えることに対しいつも不足を感じ、もっと与えたいと思っていても、次男である坎卦(かんけ)のプライドは、親を越えたい、親よりも立派になりたいと天を見つめて、心のうちに闘争芯を抱いているのが天水訟(てんすいしょう)となります。

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六十四卦の六番目に位置するのが天水訟(てんすいしょう)です。この卦は、大いなる「天」と、深く流れる「水」が、互いに背を向けて遠ざかっていく姿を描いています。

前の卦「水天需」では、家族で食卓を囲み、恵みを待つ喜びを分かち合いました。しかし、物資や愛情が豊かになればなるほど、今度はそれをどう分かち合うか、どちらが正しいかという「争い(訟)」の種が芽生えることがあります。天水訟の教えは、たとえ自分が正しいと信じるときであっても、愛のために一歩を譲る「負けるが勝ち」の作法を私たちに示してくれます。

家族の構成と象徴:理想を追う父と、葛藤を抱く次男

天水訟は、上に「天」、下に「水」が位置しています。これを私たちの八人家族の物語として読み解くと、父と次男の間に流れる、少し切ない心のすれ違いが見えてきます。

上卦「乾(天)」:高き理想を掲げる父

上に位置する「天」は「父」の象徴です。父は常に正義を重んじ、家族のために「こうあるべきだ」という高い理想(天)へ向かって進もうとします。その性質は剛健で、自分の信じる道に一点の曇りもありません。

下卦「坎(水)」:深き淵で悩む次男

下に位置する「水」は「次男」を象徴しています。次男は今、内面に険しさや不安を抱え、下へと沈み込むような葛藤(水)の中にいます。父の掲げる高い理想に付いていけず、自分の言い分を認めてほしいという不平不満が、心の奥底で渦巻いているのかもしれません。

愛のすれ違い:背を向ける心

天は上へと昇り、水は下へと流れます。二つの心は交わることなく、どんどん離れていってしまいます。父が「正論」を強く主張すればするほど、次男は「わかってもらえない」と心を閉ざし、対立が深まります。この「訟」の状態は、双方が自分の正しさを譲らないために起こる、悲しい愛の摩擦なのです。

愛の解釈:正しさを手放し、和合を選ぶ「真心の作法」

天水訟が教える愛の真理は、「争いは最後までやり遂げてはいけない」ということです。

たとえあなたの言い分が百パーセント正しく、相手が間違っていたとしても、力ずくで相手を屈服させて得られる勝利に、真の幸福はありません。訟の卦は「最後まで争えば凶」と厳しく戒めています。

本当の愛の作法とは、自分の正しさを主張する手を休め、相手の心の痛みや不満に耳を傾けることです。「自分が正しい」という鎧を脱ぎ捨て、中庸の道を知る「大人(たいじん)」、例えば冷静な母や信頼できる誰かに仲裁を頼む謙虚さも必要です。一歩引いて譲ることは、敗北ではありません。それは、家族の調和を守るために「自分の我」を抑えるという、最も気高い愛の表現なのです。

訟(しょう)とは、

訟(しょう)は、孚(まこと)あり、窒(ふさ)がる 惕(おそ)れて、中(なか)すれば吉、終われば凶とあります。
訟(しょう)は、訴訟(そしょう)、裁判を意味し、対立していることを意味します。愛情のない訴訟(そしょう)は憎悪と憎しみを生みます。愛情をもって物事御当たっていかなければなりません。乾卦(けんけ)と坎卦(かんけ)天と水 父と次男という立場を踏まえたうえで、互いの矛盾 互いの相剋(そうこく)はたえず起こりうるものです。親の心子知らず、子の心、親知らずになりかねません。つまらぬ意地、プライドは、より一層の闘争を生むため、第三者を中間に立てて、どちらにも偏ることのない中正(ちゅうしょう)を求めていくことが無難と言える。

「訟」の字:言葉を公にする勇気と危うさ

「訟」という字は、「言(ことば)」と「公(おおやけ)」から成り立っています。もともとは、自分の言い分を公の場で明らかにする、つまり「訴える」ことを意味します。 家族の間で「訟」が起こるとき、私たちは自分の言い分を「公論」や「正論」という武器にして相手を攻めてしまいがちです。しかし、愛の世界において大切なのは、論理で相手を負かすことではなく、言葉(言)を私物化せず、家族みんなの幸せ(公)のために使うこと。自分の主張が、ただの「わがまま」になっていないか、常に自らを戒める心が必要なのです。

天水訟(てんすいしょう)のイメージ

訟有孚塞。惕中吉。終凶。利見大人。不利渉大川。
「 訟 」は貫けば凶、途中であきらめれば吉、大川を渡ってはならない

争いは自分に、理があると思えても、自分の了見でしか物事を判断していないため、多くが誤解や錯覚、行き違いにより発生しています。「 訟 」は貫けば凶、とあるように、何事において自我を通せば、結果は最悪。凶となります。

利見大人とは、理解ある、常識や世間が広い知識人や、博学のある人物に意見を求めよということです。又聞く姿勢は謙虚であることが望ましく、忠告には、天の声、天の意志(乾卦(けんけ))の願いがあり、坎卦(かんけ)次男が効く態度をとれば、すべてが有益であるため、特に、親子関係においての争いは、修復不可能な立場におちいるため、不利渉大川。無理やり物事を進める行為は、大河を渡る行為であるため、大河を渡らない方が良いと言っています。

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天水訟(てんすいしょう)の六爻

天水訟(てんすいしょう)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陽、三陰、四陽、五陽、上陽と並んだ状態を天水訟(てんすいしょう)といいます。

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陽 訴訟(そしょう)において勝ち、栄光のベルトを勝ち得るが、長くは続かない。もともと、訴訟(そしょう)において勝ち得た栄光など、尊(たっと)ぶに値しないことだ。

五陽 訴訟(そしょう)において大吉。第三者を仲介に入れ、 訴訟(そしょう)において大吉。第三者を仲介に入れ、どちらにも偏ることのない中正にいるからだ。

四陽 敗訴する。退いて、天命に従い、態度を改めて、正道に甘んじていれば吉である。

三陰 現在の待遇に甘んじている時期。 現在の待遇に甘んじている時期。慎み低姿勢を堅く守っていれば、危ういが吉である。我を通し、華々し成功を願い出すぎたことをしてはいけない。時として、目上に従うことも必要。

二陽 敗訴する、下の者が、道に反して上と争うだろう。災いになるのは当然の成り行きであろう。争いを避けて自己のテリトリーを守っていれば災いは起きないものだ。

初陰 争いは長引かせてはいけない。互いに適当なところで折り合いをつけ負ければ紛争が続く、多少の小競り合いはあるが、道理を通すか、折れるかである。 

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変卦:愛が動く、変化の法則

易経が教える「変易」は、私たちの心が「正しさ」に固執して凍りついたとき、それを溶かすための「変化」を促してくれます。争いは愛の欠落を知らせるサインであり、変卦はその欠落を埋めるための具体的な指針となります。

九四が動いた場合:対立から霧散へ

天水訟の「九四(四番目の爻)」が変化するとき、頑固だった心が柔らかく解け始めます。

  • 変化後の卦の番号: 第五十九番
  • 変化後の卦の名前: 風水渙(ふうすいかん)
  • 運気の具体的な変化: 激しい争いの「訟」から、悩みやわだかまりが風に吹かれるように霧散する「渙」へ。

九四が動くということは、あなたが「自分は勝てない、正しさを押し通してはいけない」と気づき、素直に元の正しい道へ戻ったことを意味します。その瞬間、険悪だった家族の空気は、春の風(上卦:巽・長女)が氷を溶かし、水(下卦:坎・次男)を自由に流す「風水渙」の状態へと変わります。

「変化した後の卦の番号(第五十九番)」をぜひ探してみてください。そこには、争いのあとに訪れる、すべてが清々しく洗い流された愛の風景が広がっています。こだわりを捨て、軽やかな風のように相手を許すことで、あなたの家族には再び真の調和が訪れるでしょう。

64卦

周易 上経 30卦

NO六爻上卦下卦
1乾為天 (けんいてん)☰ 乾 ☰ 乾
2坤為地(こんいち)☷ 坤☷ 坤
3水雷屯(すいらいちゅん)☵ 坎 ☳ 震
4山水蒙(さんすいもう)☶ 艮 ☵ 坎
5水天需(すいてんじゅ)☵ 坎 ☰ 乾
6天水訟(てんすいしょう)☰ 乾 ☵ 坎
7地水師(ちすいし)☷ 坤 ☵ 坎
8水地比(すいちひ)☵ 坎☷ 坤
9風天小畜(ふうてんしょうちく)☴ 巽☰ 乾
10天沢履(てんたくり)☰ 乾 ☱ 兌
11地天泰(ちてんたい)☷ 坤 ☰ 乾
12天地否(てんちひ)☰ 乾 ☷ 坤
13天火同人(てんかどうじん)☰ 乾 ☲ 離
14火天大有(かてんたいゆう)☲ 離 ☰ 乾
15地山謙(ちざんけん) ☷ 坤 ☶ 艮
16雷地豫(らいちよ)☳ 震 ☷ 坤
17沢雷随(たくらいずい)☱ 兌 ☳ 震
18山風蠱(さんぷうこ)☶ 艮 ☴ 巽
19地沢臨(ちたくりん)☷ 坤 ☱ 兌
20風地観(ふうちかん)☴ 巽 ☷ 坤
21火雷噬嗑(からいぜいこう)☲ 離 ☳ 震
22山火賁(さんかひ)☶ 艮 ☳ 震
23山地剥(さんちはく)☶ 艮 ☷ 坤
24地雷復(ちらいふく)☷ 坤 ☳ 震
25天雷无妄(てんらいむぼう)☰ 乾 ☳ 震
26山天大畜(さんてんたいちく)☶ 艮 ☰ 乾
27山雷頤(さんらいい)☶ 艮 ☳ 震
28沢風大過(たくふうたいか)☱ 兌☴ 巽
29坎為水(かんいすい)☵ 坎 ☵ 坎
30離為火(りいか)☲ 離 ☲ 離

周易 下経 34卦

NO六爻上卦下卦
31沢山咸(たくざんかん)☱ 兌 ☶ 艮
32雷風恒(らいふうこう)☳ 震☴ 巽
33天山遯(てんざんとん)☰ 乾☶ 艮
34雷天大壮(らいてんたいそう)☳ 震 ☰ 乾
35火地晋(かちしん)☲ 離 ☷ 坤
36地火明夷(ちかめいい)☷ 坤 ☲ 離
37風火家人(ふうかかじん)☴ 巽 ☲ 離
38火沢睽(かたくけい)☲ 離 ☱ 兌
39水山蹇(すいざんけん)☵ 坎 ☶ 艮
40雷水解(らいすいかい)☳ 震 ☵ 坎
41山沢損(さんたくそん)☶ 艮 ☱ 兌
42風雷益(ふうらいえき)☴ 巽 ☳ 震
43沢天夬(たくてんかい)☱ 兌 ☰ 乾
44天風姤(てんぷうこう)☰ 乾 ☴ 巽
45沢地萃(たくちすい)☱ 兌☷ 坤
46地風升(ちふうしょう)☷ 坤☴ 巽
47沢水困(たくすいこん)☱ 兌☵ 坎
48水風井(すいふうせい)☵ 坎 ☴ 巽
49沢火革(たくかかく)☱ 兌 ☲ 離
50火風鼎(かふうてい)☲ 離 ☴ 巽
51震為雷(しんいらい)☳ 震 ☳ 震
52艮為山(ごんいさん)☶ 艮 ☶ 艮
53風山漸(ふうさんぜん)☴ 巽 ☶ 艮
54雷沢帰妹(らいたくきまい)☳ 震 ☱ 兌
55雷火豊(らいかほう)☳ 震 ☲ 離
56火山旅(かざんりょ)☲ 離 ☶ 艮
57巽為風(そんいふう)☴ 巽 ☴ 巽
58兌為沢(だいたく)☱ 兌 ☱ 兌
59風水渙(ふうすいかん)☴ 巽 ☵ 坎
60水沢節(すいたくせつ)☵ 坎 ☱ 兌
61風沢中孚(ふうたくちゅうふ)☴ 巽 ☱ 兌
62雷山小過(らいざんしょうか)☳ 震 ☶ 艮
63水火既済(すいかきせい)☵ 坎 ☲ 離
64火水未済(かすいびせい)☲ 離 ☵ 坎