【易経】水天需(すいてんじゅ)六四卦 易経 周易で観る八人家族の関係性 六十四卦 五番
水天需(すいてんじゅ)

六十四卦の五番目に位置するのが、水天需(すいてんじゅ)となります。水天需(すいてんじゅ)を表す卦は、水天需 ䷄ は、父、乾☰の上に、次男、坎 ☵がのっかった卦です。

上卦は、坎卦☵(かんけ)です。坎卦は、陰爻に陽爻が挟まれた形で、家族の中では、次男を表し、八卦においては、水を表しています。
上卦は、乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、家族の中では父を表して、八卦においては、天を表します。
六十四卦の五番目に位置するのが水天需(すいてんじゅ)です。この卦は、大いなる天の上に雲が広がり、今まさに恵みの雨が降ろうとしている、その直前の「待機」と「滋養」の時間を象徴しています 。
一つ前の「山水蒙(さんすいもう)」で幼い芽が教育を受け始めた段階を経て、この第五番目では、健やかな成長のために不可欠な「栄養」を摂取し、天の時が満ちるのをじっと待つ「忍耐」と「信頼」が説かれます 。人生には、準備は整っているのになかなか物事が進展しない、出口が見えない不安に駆られる瞬間があります。しかし、水天需の教えは、その停滞こそが愛を深めるための大切な「恵みの時間」であることを教えてくれるのです。
家族の構成と象徴:剛健なる父と、信じて待たれる次男
水天需は、上に「水」、下に「天」が重なり合っています。これを私たちの八人家族に置き換えると、家族を支える基盤と、成長の途上にある命の美しい対話が見えてきます。
下卦「乾(天)」:家族の柱としての父
下に位置する「乾」は、この家族の主柱である「父」を象徴しています 。天のように剛健で、何事にも屈しない不退転の決意と責任感。父は常に家族の未来を見据える力強いエネルギーそのものです。この乾が土台にあることは、家族の絆が極めて強固であることを示しています。
上卦「坎(水)」:試練の中に宿る次男の真心
一方で、上に位置する「坎」は「次男」を象徴しています 。水は「険難」、つまり険しさや困難を意味することもあります 。次男は今、人生の荒波や内面の葛藤に直面し、行く手に壁が立ちふさがっている状態かもしれません。しかし、坎には「孚(まこと)」、すなわち「真心」という意味も宿っています 。次男が直面している試練は、彼の内側にある真心を磨き、他者の痛みを理解できる強さを養うための大切な時間なのです。
父は、その剛健な徳をもって、焦って次男を無理に引き上げるのではなく、次男の成長を「信じて待つ」ことを選びます。天の時が満ち、雲(水)が恵みの雨となって地上を潤すその時まで、父は泰然と構え、家族を包み込むのです。
愛の解釈:飲食宴楽、喜びを分かち合う「愛の作法」
水天需が教える「愛の作法」は、決して消極的な我慢ではありません。それは非常に豊かで能動的な準備期間です。
易経の教えの中に「君子以て飲食宴楽(いんしょくえんらく)す」という言葉があります 。困難が目の前にあり、自分たちの力ではどうにもできない時を待つ間、不安に支配されるのではなく、今ここにある食べ物を慈しみ、家族との会話を楽しみ、心身を健やかに保つこと 。
母(坤)が丹精込めて作った温かい食事を囲み、長女(巽)が花を飾り、次女(離)が明るい声を響かせる。次男が抱える悩みから一時的に目を離し、家族全員で笑い合うこと。この「心の栄養補給」こそが、いざ道が開けたときに力強く踏み出すためのエネルギーとなります。愛とは、目標を達成することだけではなく、目標に到達するまでの「何でもない停滞期」をいかに真心をもって過ごせるか、という作法の中にこそ宿るのです 。
この水天需(すいてんじ)の表すものは、父親がその愛情において、次男を持ち上げている卦でもあります。
自然界は、水を温め蒸気として、雲を呼び雨を降らせ大海に導き出します。
この次男は、三人の兄弟の中でも悠々自適、我が道を行く存在であり、自由人であるため、気に入らなければ、大川のように災害を起こし、穏やかであれば、人々に潤いを与え、どんな隙間にでも流れ込むが、上から下へとしか行けず。天の父の力を得て、初めて空に昇り雨を降らすことができることを知らないほどに、若いのです。しかし、父である、乾卦(けんけ)はすべてを知っていて、愛しています。故に、子がわかる年まで待つことを選んでいます。 父と子は、その絆でつながっているため、時を待つことで、お互いに愛情が共鳴し、進む道は順風満帆(じゅんぷうまんぱん)です。
需は待つ

人生には、時が来るまで待つことも必要である。人を待ちわびて年を取っていくこともあるでしょう。水天需(すいてんじ)は別の見方をすれば、坎卦(かんけ)という大河の前に立つ大男、乾卦(けんけ)を意味します。流れの早い大河の前に立っている私です。
大男の心は、目の前の大河に負けない剛健な心を持って今にも河を、渡ろうとします。がそこは自重「自重」すべきです。暴虎馮河(ぼうこひょうが)は、この場合、勇敢な人物ではなく、ただのバカです。真の勇気は、時期を見据え、前に出る一歩を必要なときに出すことです、。今は、大河を渡らず英気を養うときです。危険に陥(おちい)ることなく。待つことで英気が養われ、やがて大いに伸びます。揺るぎなき志操(しし)を持って危険を冒さなくても順調に行く来ます。
「需」の字:雨を求め、寄り添う祈り
「需」という字は、「雨」と「而(じ)」という文字から成り立っています 。古代において「而」は、頭髪を柔らかく垂らした巫女の姿を表していたと言われています 。日照りが続く大地で、雨が降ることを願って、天の気が降りてくるのをじっと待ち、雨に濡れながらもその場を動かずに祈り続ける姿 。そこから「雨を待つ」「求める」という意味が生まれました 。
この字が教えるのは「しなやかな忍耐」です。愛する人が苦しんでいるとき、私たちはその苦しみを代わってあげることはできません。しかし、相手の傍らで共に雨に濡れるような覚悟で留まり、信じて祈り続けることはできます。その「寄り添う静止」こそが、最も強い愛の表現なのです。
水天需(すいてんじゅ)のイメージ
需。有孚光亨。貞吉。利渉大川。
「需」は待てば光がある。大川をわたるのもいい
需の意味は、時のことです。吉日、吉時、吉方位を意味します。古来よりの格言に”待てば海路の日和あり””思い立ったら吉日”と、私達の時(時)に対しての認識について言い当てている言葉があります。
「需」は待てば光がある。とあるように、人に与えられる「吉」チャンスは誰にでも与えられます。ただ、こういったチャンスを自分のものにできない人もいます。 こういったチャンスを物にできない理由は、宇宙の自然の法則に逆らっていたり、同期していないからであるといえます。待つというのは、こういったチャンスが来るまでただ単にボーっと何も考えず待つということではありません。
準備していて待つということを理解すべきでしょう。待つために、準備をする個言うのは、宇宙の法則に合わせて動くということです、春になれば 芽が出るというのも当たり前のようですが、冬の間に春の準備をして、季節が来たら一気に花咲かせるのも、冬の間に春の準備をしているからです。自然界はこういった準備をして、自分が花咲く時を待っています。まして、霊長類と言われる自然界の頂点にたつ私達は、自分が花咲くときまで準備をする。待つことができるはずです。そのためにも、宇宙の法則、原則、規律を知ることは大切です。
水天需(すいてんじゅ)の六爻
水天需(すいてんじゅ)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陽、四陰、五陽、上陰と並んだ状態を水天需(すいてんじゅ)といいます。

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陰 剣難の極み 窮地であることに変わりはない。しかし、捨てる神あれば拾う神あり、思いもよらない人々からの助言が入る。素直な敬虔(けいけん)な心持ちで従うならば、取り返しのつかない状態にはならない。

五陽 酒や食料を備えて”時”を待つ。「需」の本質は待つことである 正しいあり方は、待つであることを肝に命じて待つ。

四陰 流血の中で待つ。 周囲に助けてくれる人がいて、その言葉に素直に聞き従うなら窮地から抜け出せる

三陰 渚(なぎさ)の泥の中で待つ。災いが目前にあるのをわかっていて進むのは災厄(さいやく)を自ら招くことになります。慎重に”時”を待って進めば失敗することはない。わざわざ”火中の栗を拾う”時ではない。

二陽 河原に出てきて待つ、周りに危険が出てきた、多少の非難を受けるだろうが、自分の意志をしっかり持って、不動心、中庸の心を持てば、すぎてみれば吉となる。

初陽 田舎に引きこもり待っているので、危険もなく、のんびりとしてむやみに動かない方がいい、自然の景色をのんびりみてつまらないことに惑わされることもなく、志操(しそう)を守っていれば咎(とが)めることはない。
志操とは、自分の主義や主張などを固く守って変えない心。
変卦:愛が動く、変化の法則
易経が説く最も重要な真理は「変易(変化し続けること)」です。万物は一刻も休まず変化しており、その変化はすべて、私たちが「愛の作法」を習得するための大切な「機(きっかけ)」として与えられます。
人生がどん底の時や、逆に最高潮の時に現れる「変卦」は、愛の欠落や間違った愛し方を修正するための愛のメッセージです。
九五が動いた場合:忍耐から感応へ
もし、水天需の「九五(五番目の爻)」が動いたなら、それはあなたの誠実な待機が天に通じたサインです。
- 変化後の卦の番号: 第十一番
- 変化後の卦の名前: 地天泰(ちてんたい)
- 運気の具体的な変化: じっと待つ「需」の時代が終わり、すべてが調和し、安泰へと向かう「泰」の時代へ 。
九五が変化するということは、あなたが「信じて待つこと」を学び終えたことを意味します。その瞬間、天上の雲(次男)は恵みの雨となり、大地(母)と完全に交わり合います。これは「地天泰」、つまり天と地、父と母、そして家族全員の心が一つに結ばれ、最高のパワーを発揮する状態です 。
「変化した後の卦の番号(第十一番)」をぜひ探してみてください。そこには、長い待機の末に辿り着く、光り輝く愛の完成形が描かれています。変化を恐れず、愛を深めるための招待状として受け取ってくださいね。
64卦
周易 上経 30卦
| NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
| 1 | 乾為天 (けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
| 2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
| 3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
| 4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
| 5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
| 6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
| 7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
| 8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
| 9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
| 10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
| 11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
| 12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
| 13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
| 14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
| 15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
| 16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
| 17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
| 18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
| 19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
| 20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
| 21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
| 22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
| 23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
| 24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
| 25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
| 26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
| 27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
| 28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
| 29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
| 30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
| NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
| 31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
| 32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
| 33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
| 34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
| 35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
| 36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
| 37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
| 38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
| 39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
| 40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
| 41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
| 42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
| 43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
| 44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
| 45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
| 46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
| 47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
| 48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
| 49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
| 50 | 火風鼎(かふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
| 51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
| 52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
| 53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
| 54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
| 55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
| 56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
| 57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
| 58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
| 59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
| 60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
| 61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
| 62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
| 63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
| 64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |

