山雷頤(さんらいい)

六十四卦の二十七番目に位置するのが、山雷頤(さんらいい)。長男の卦 震卦(しんけ)(☳)の上に末っ子の艮卦(ごんけ)(☶)(が乗っかっている形になります。

上卦は艮卦☶(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。

下卦は震卦☳(しんけ)です。震卦は陽爻1段の上に陰爻が2段乗った形で、家族においては、長男をあらわします。八卦においては雷を表しています。

六十四卦の二十七番目に位置するのが山雷頤(さんらいい)です。この卦は、私たちが互いの命と心をどのように養い、慈しんでいくべきかという「養育の愛」を説いています。

「頤(い)」とは、顎(あご)のことを指します。食べ物を咀嚼し、言葉を紡ぎ出すこの場所は、命を維持し、愛を伝えるための神聖な門です。八人の家族が食卓を囲み、温かな食事と会話を分かち合うとき、そこには単なる栄養補給を超えた、真心の作法が宿っているのです。

家族の構成と象徴:三男の静寂が長男の生命力を育む

山雷頤の卦は、上に「艮(ごん)」、下に「震(しん)」を配しています。私たちの家族では、上卦の艮は「三男」を、下卦の震は「長男」を象徴しています。

三男は「山」のように動かず、物事を静かに受け止める力を持っています。その山の懐で、長男である「雷(生命の躍動)」が響き、新しい命が芽吹こうとしています。これは、三男のどっしりとした安定感が、長男の情熱を正しい方向へと導き、養っている姿です。

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下卦の震卦(☳)(しんけ)と上卦の艮卦(☶)(ごんけ)は天地において対象の形を取り、人の営みの中の口を表し、咀嚼(そしゃく)する顎(あご)を表しています。震卦(☳)(しんけ)破天を轟く稲妻であり、艮卦(☶)(ごんけ)大地に広がる山脈であるがゆえにこの兄弟は、天の万物、地の万物を表しています、人がものを食べるときに上顎(うわあご)だけで噛むことができず、下顎’(したあご)だけでも噛むことはできません。ゆえに互いを思い、互いを認め合うことで成り立っています

ただ、上顎(うわあご)はよく動くことはできず、下顎’(したあご)の動きに合わせて生きています。故に、下顎’(したあご)にあわせて生きています。

人は、動物のように、地上にある食事だけで生きるものではなく、同時に、精神的食事も必要とします。それは、互いを思いやる愛であり、下顎’(したあご)は上顎(うわあご)に合わせて口を動かし食べ物をいただきますし、愛を語る場所でもあります。

ここで自分の下顎’(したあご)と上顎(うわあご)を見たときに、この状態を口と言います。この口は、食べるためだけの存在ではなく、生きるために 呼吸をする入り口でもあり、言葉を発するための器官でもあるわけです。

自分を活かすための口でもありますが、その口から発する言葉で、人を活かすことを常とするのが本来の、頤(い)の意味です。人を貶めるために、詐欺を働いたり、自分を大きく見せるための頤(い)の存在理由ではないのです。 

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この二人の兄弟の結びつきは、「自らを養い、他者を養う」という愛の循環を象徴しています。長男が外へ向かって放つ強いエネルギーを、三男が山のような深い慈愛で受け止め、美味しい食事や知恵という形に変えて家族に還元していく。これこそが、山雷頤が示す家族の調和です。

愛の解釈:言葉と食事を慎む「真心の作法」

山雷頤が教える愛の形は、私たちの「口」にまつわる慎みの中にあります。

自然現象と家族の触れ合いが教えるもの

春、山(三男)の下で雷(長男)が鳴り響くと、その振動によって地中の草木が一斉に芽を吹き出します 。これを家族の愛に置き換えると、親や兄弟がかける「温かな言葉」が、子供たちの心の芽を健やかに育てていく様子となります。

しかし、頤の教えは「口は災いの元」であることも厳しく説いています 。 「何を食べるか(身体を養うもの)」と同じくらい、「何を話すか(心を養うもの)」が大切なのです。家族の間であっても、相手を傷つける言葉や、自分を偽る言葉は、心の栄養を損なう毒となります。逆に、感謝の言葉や、相手を思いやる静かな沈黙は、何よりの御馳走となります。

養うべきは何かを見極める

愛とは、単に相手を甘やかすことではありません。「頤を観る」という言葉があるように、その人が何を求めているのか、何によってその魂が輝くのかを深く観察することが、真の養育の愛です。三男のように静かな視点を持ち、長男のような情熱を持って相手の成長を支えること。そのバランスこそが、徳を養うための作法なのです。

頤(い)とは、

「頤(い)」という字の形をじっくり眺めてみてください。この卦(山雷頤)の形そのものが、上下に開いた口の形をしています。

上の陽爻(一本線)は上顎、下の陽爻は下顎、そして中の四つの陰爻(点線)は歯や口の中の空間を表しています。

この「口」という場所は、外からの栄養を取り入れる場所であると同時に、内側の想いを言葉として吐き出す場所でもあります。頤という字には、自分の心身を正しく養い、さらにその豊かさを周りの人々に分け与えるという、生命の力強い意志が込められているのです。

この卦は、正しい食事を取り、身を養うことを示しています、それは、自らの身を養うばかりではなく、同時に精神的食事で養うことも意味するので、肉体的食事と、精神的食事を意味しており、精神的食事というのは人の魂、霊性(魂魄こんぱく)と言えます。人は他の動物と違い霊長類と言われるように、霊性(魂魄こんぱく)においても、正しくなければなりません。人の霊性(魂魄こんぱく)が正しくなければ、他の動物、植物、鉱物といった存在は、犠牲になるしかありません。今の時代、宇宙までも管理しようとする人間が、正しく霊性(魂魄こんぱく)を持たなければ、行き着く先は、暗黒であり、破壊でしかありません。頤(い)とは、【食を養う】という意味を持ち、それは自分のことだけでなく、【自分以外の物を養う】ことでもあるのです。

上に立つものは部下を養う、親は子を養う、人は万象を養うのです。そのためにも自らの霊性(魂魄こんぱく)を正しく保たなければならないのです。

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山雷頤(さんらいい))のイメージ

頤。貞吉。観頤自求口実。
「頤」の時、貞正にして吉。自らを求め、養う目的を見定める。

「頤」とは食糧
食べ物を食べる時,咀嚼(そしゃく)して食べ物を食べます。人は、体を維持するために食糧を食べ、魂魄(こんぱく)を維持するために気を得なければなりません。体と心は栄養のある食で養うため、自然の中で樹木と対話し、鳥や動物と対話して、心に得たものを咀嚼(そしゃく)し自らを育てるのが、この時期です。

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山雷頤(さんらいい)の六爻

山雷頤(さんらいい)の六爻は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陰、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を、山雷頤(さんらいい)といいます

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陽 すべてのものを養い、頼りにされる。責任が重く、艱難(かんなん)も多いが、吉 大いに喜びがある。大河を渡る冒険や危険があっても、刃長に行く。

五陰 常道に反しているが、己を虚しく上に従い、そのまま変わることがなければ、吉、大河を渡るような冒険は控えること、

四陰 目下の者に養われるが、吉 大いに下に恩恵を施すからである、虎視眈々(こしたんたん)欲望を持っても咎めはない。

三陰 野望に駆られ、(養】の道に反する、凶 十年間 時を待って動くな もし動けば、害になる。

二陰 目下の者に養われ、常道に反している。それだけならまだ良いが、友人の妻子に色目を使い奪う いたずらに高きを望み 凶

初陽 自分が食べているにも関わらず、隣の食べ物によだれを垂らす、自分の美質を置き去りに、他人を羨む、日本のことわざい、隣の芝生がよく見えるとあるが、必要以上の欲を持ち、凶

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変卦:愛が動く、変化の法則

易経が説く「変易」とは、停滞した生命に再び魂を吹き込み、循環させるための希望の法です。

哲学の提示:変化を「愛の再起動」として捉える

なぜ、山雷頤という「養う」時期に変化が起こるのでしょうか。それは、愛という栄養が一点に留まり、腐ってしまうのを防ぐためです。変化は、あなたの中に溜まった愛を新鮮な形に組み替え、再び力強く歩み出させるための「機(きっかけ)」なのです。

人生の浮き沈みと愛の修正

もし今、あなたが「誰のために頑張っているのかわからない」という虚しさを感じているなら、それは養う対象や方法を修正すべき時かもしれません。変卦は、あなたが自分を犠牲にしすぎたり、逆に相手を支配しようとしたりする「間違った愛し方」を、宇宙が優しく正してくれるサインです。

運気の具体的な変化:

「山雷頤」の四爻は、虎のような真剣な眼差しで、理想の養育を追い求める時でした。その強い意志が動くことで、事態は「火雷噬嗑」へと展開します。

「噬嗑(ぜいごう)」とは、口の中に挟まった障害物を噛み砕き、取り除くことを象徴しています。

  • 障害の突破: 家族を養い、愛を深めようとする道に立ちふさがっていた「誤解」や「古い習慣」という硬い殻を、今こそ噛み砕く時です。
  • 明快な解決: 次女(火)の知恵と長男(雷)の行動力が合わさり、複雑に絡み合った問題が驚くほどスッキリと解決へ向かいます。
  • 調和への再構築: 噛み砕く痛みは一時的ですが、その後に訪れるのは、一点の曇りもない透明な絆です。勇気を持って、心に挟まったわだかまりを言葉にし、解消してください。

「養うこと(頤)」への一途な想いが、障害を打ち破る「強さ(噬嗑)」へと変わりました。あなたの愛は今、ただ見守る段階から、自らの手で未来を切り拓く、たくましい愛へと進化しようとしています。

64卦

周易 上経 30卦

NO六爻上卦下卦
1乾為天 (けんいてん)☰ 乾 ☰ 乾
2坤為地(こんいち)☷ 坤☷ 坤
3水雷屯(すいらいちゅん)☵ 坎 ☳ 震
4山水蒙(さんすいもう)☶ 艮 ☵ 坎
5水天需(すいてんじゅ)☵ 坎 ☰ 乾
6天水訟(てんすいしょう)☰ 乾 ☵ 坎
7地水師(ちすいし)☷ 坤 ☵ 坎
8水地比(すいちひ)☵ 坎☷ 坤
9風天小畜(ふうてんしょうちく)☴ 巽☰ 乾
10天沢履(てんたくり)☰ 乾 ☱ 兌
11地天泰(ちてんたい)☷ 坤 ☰ 乾
12天地否(てんちひ)☰ 乾 ☷ 坤
13天火同人(てんかどうじん)☰ 乾 ☲ 離
14火天大有(かてんたいゆう)☲ 離 ☰ 乾
15地山謙(ちざんけん) ☷ 坤 ☶ 艮
16雷地豫(らいちよ)☳ 震 ☷ 坤
17沢雷随(たくらいずい)☱ 兌 ☳ 震
18山風蠱(さんぷうこ)☶ 艮 ☴ 巽
19地沢臨(ちたくりん)☷ 坤 ☱ 兌
20風地観(ふうちかん)☴ 巽 ☷ 坤
21火雷噬嗑(からいぜいこう)☲ 離 ☳ 震
22山火賁(さんかひ)☶ 艮 ☳ 震
23山地剥(さんちはく)☶ 艮 ☷ 坤
24地雷復(ちらいふく)☷ 坤 ☳ 震
25天雷无妄(てんらいむぼう)☰ 乾 ☳ 震
26山天大畜(さんてんたいちく)☶ 艮 ☰ 乾
27山雷頤(さんらいい)☶ 艮 ☳ 震
28沢風大過(たくふうたいか)☱ 兌☴ 巽
29坎為水(かんいすい)☵ 坎 ☵ 坎
30離為火(りいか)☲ 離 ☲ 離

周易 下経 34卦

NO六爻上卦下卦
31沢山咸(たくざんかん)☱ 兌 ☶ 艮
32雷風恒(らいふうこう)☳ 震☴ 巽
33天山遯(てんざんとん)☰ 乾☶ 艮
34雷天大壮(らいてんたいそう)☳ 震 ☰ 乾
35火地晋(かちしん)☲ 離 ☷ 坤
36地火明夷(ちかめいい)☷ 坤 ☲ 離
37風火家人(ふうかかじん)☴ 巽 ☲ 離
38火沢睽(かたくけい)☲ 離 ☱ 兌
39水山蹇(すいざんけん)☵ 坎 ☶ 艮
40雷水解(らいすいかい)☳ 震 ☵ 坎
41山沢損(さんたくそん)☶ 艮 ☱ 兌
42風雷益(ふうらいえき)☴ 巽 ☳ 震
43沢天夬(たくてんかい)☱ 兌 ☰ 乾
44天風姤(てんぷうこう)☰ 乾 ☴ 巽
45沢地萃(たくちすい)☱ 兌☷ 坤
46地風升(ちふうしょう)☷ 坤☴ 巽
47沢水困(たくすいこん)☱ 兌☵ 坎
48水風井(すいふうせい)☵ 坎 ☴ 巽
49沢火革(たくかかく)☱ 兌 ☲ 離
50火風鼎(かふうてい)☲ 離 ☴ 巽
51震為雷(しんいらい)☳ 震 ☳ 震
52艮為山(ごんいさん)☶ 艮 ☶ 艮
53風山漸(ふうさんぜん)☴ 巽 ☶ 艮
54雷沢帰妹(らいたくきまい)☳ 震 ☱ 兌
55雷火豊(らいかほう)☳ 震 ☲ 離
56火山旅(かざんりょ)☲ 離 ☶ 艮
57巽為風(そんいふう)☴ 巽 ☴ 巽
58兌為沢(だいたく)☱ 兌 ☱ 兌
59風水渙(ふうすいかん)☴ 巽 ☵ 坎
60水沢節(すいたくせつ)☵ 坎 ☱ 兌
61風沢中孚(ふうたくちゅうふ)☴ 巽 ☱ 兌
62雷山小過(らいざんしょうか)☳ 震 ☶ 艮
63水火既済(すいかきせい)☵ 坎 ☲ 離
64火水未済(かすいびせい)☲ 離 ☵ 坎