山地剝(さんちはく)

六四卦の二十三番目に位置するのが、山地剝(さんちはく)。母の☷坤卦(こんけ)の上に未子である☶艮卦(ごんけ)が乗っかっている形になります。

上卦は艮卦☶(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。
下卦は、坤卦☷(こんけ)です。坤卦は陰中の陰を表し、家族においては母親であり、八卦においては地を表しています。
(小人の勢いが盛んなり君子を剥害する時に当る)と易教に記載されています。この山地剥(さんちはく)は母親の上に末っ子が乗っかっている姿です。大地から山が大きく背伸びしている姿といえます。ただこのヤンチャな末っ子は遊び盛りに背伸びをして母親に対して自分はもう立派な大人だと母の前で大きく見せようと踏ん張っています。

下卦の陰爻が続いた上に陰2段 合わせて5段の上に陽爻が競り上がっているため、バランスを崩して土砂災害を起こしています。山肌は高く背伸びした重さに耐えかねて剥がれ落ちていきます。安定していない 高望みによって剥がれ落ちてしまっているのです。
この山地剝(さんちはく)は衰退の象であり、母親の苦労を介さず、自分を高く見せる山にゆえに、崩れ落ちる相といえます。陰爻5段に対し上卦が重たくのしかかり、母親の負担が大きいことを示しています、山は高くなれば少しの地震の揺れや大雨により土砂災害を起こします。下にいる母の愛を忘れ上に伸びてゆこうとする末っ子の想いは、労りの心を忘れ、勝手気ままに上り詰めようとする危ない位置にいることを山地剝(さんちはく)は示しています。
これは、卦の形からも下の陰爻が唯一残る陽爻を侵食していく様を表しています、栄枯盛衰の末路文化の爛熟(らんじゅく)期が一気に衰退する社会的衰滅(衰滅)を言い表しています。
剥(はく)とは、
剥(はく)ほ文字のごとく、剥離の意味を持っていて、剥ぎ取る、裂くことです。表面的に咲かれることでもありますが、内面としても、咲かれることを意味します。ものごとがうまくいかず、悲運なことが続いていくことです。剥離というと無理やり、剥がされることでもあり、力ずくで剥がされたり、自分以外の他者に落とし込められた状態を剥(はく)は暗示しています。このような自分でどうしようもないこと、たとえば天災によって引き起こされるのが、大雨、ゲリラ豪雨のように突発的なこと、突然の交通事故、地震などにおいて予期しない状況に会うなどあります。また、内面においても、昨日まで仲良しだと思っていた友達にいじめられたり、信頼していた夫が、浮気をしていたといった心に傷つけられることなど、自分では予知できないことは、突然のことで、防ぐことができない無理やり剥がされる感覚を言います。
剥(はく)のイメージ
剝 。不利有攸往
「剥」の時、進んで事を行なってはならない。
「剥」は、はぎとる。
衰退、交代を意味し、小人(非常識)がはびこります。困難、苦労が重なり、物事を強引に行っても得るものがありません。葛藤があるのなら、引き裂かれうまくいきません。このようなときに行動してはなりません。剥離とは、無理やりはがされることがあります。自分の内面を清めることに注意を注ぎましょう。
剥(はく)の六爻
山地剝(さんちはく)の六爻は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陰、三陰、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を、山地剝(さんちはく)と言います。

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陽 梢(こずえ)に見事な実ひとつ、食べられることなく残る。衰退の世において、残った大物、やがてm人々から、希望の君子として推戴(すいたい)される。屋根がなくなれば、守るものがんくなることを知り、小人は身を案ずる場所さえなくなる。

五陰 皇后(女帝)が女官たちをしっかりと統率するのならば、上陽の寵愛を受け、最後の咎めは免れる、忍耐し万事順調にいく。ここにおいて、秩序ルールを固めなければ壊れる。

四陰 寝台の破壊が台上の人にまで及ぶ、危険は身近に迫った、凶

三陰 ついに破壊、崩壊 しかし上司、君子の指導を受けて小人と離れるなら咎めはないだろう

二陰 破壊は足の根本まで達している。気づかない間に、危険は近づいてきている。秩序、ルールが壊されていく。

初陰 寝台を壊す。基本となる足元がガタガタになる。危険が足元に忍び寄り、秩序が崩壊する、凶
64卦
周易 上経 30卦
| NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
| 1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
| 2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
| 3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
| 4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
| 5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
| 6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
| 7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
| 8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
| 9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
| 10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
| 11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
| 12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
| 13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
| 14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
| 15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
| 16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
| 17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
| 18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
| 19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
| 20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
| 21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
| 22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
| 23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
| 24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
| 25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
| 26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
| 27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
| 28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
| 29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
| 30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
| NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
| 31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
| 32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
| 33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
| 34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
| 35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
| 36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
| 37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
| 38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
| 39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
| 40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
| 41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
| 42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
| 43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
| 44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
| 45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
| 46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
| 47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
| 48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
| 49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
| 50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
| 51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
| 52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
| 53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
| 54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
| 55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
| 56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
| 57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
| 58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
| 59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
| 60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
| 61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
| 62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
| 63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
| 64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |

