雷地豫(らいちよ)

六十四卦の十六番目に位置するのが、雷地豫(らいちよ)。母☷坤卦(こんけ)の上に長男☳震卦(しんけ)が乗っかった形になります。

上卦は震卦☳(しんけ)です。震卦は陽爻1段の上に陰爻が2段乗った形で、家族においては、長男をあらわします。八卦においては雷を表しています。

下卦は、坤卦☷(こんけ)です。坤卦は陰中の陰を表し、家族においては母親であり、八卦においては地を表しています。


六十四卦の十六番目に位置するのが雷地豫(らいちよ)です。この卦は、凍てつく冬が終わり、大地の底から春の雷鳴が轟き、生命が一斉に躍動し始める「喜び」の情景を表しています。新しい季節の訪れを予感し、心が弾むような高揚感。それは、家族が手を取り合って新しい目標へと踏み出す時の、あの温かくも力強い希望の光に似ています。しかし、真の喜びとは単に浮かれることではありません。来るべき瞬間のために静かに準備を整え、分かち合う心を育むこと。八人の家族が奏でる「喜びの合奏」を通じて、私たちが日常の中で大切にすべき「愛の作法」を紐解いていきましょう。

震卦(しんけが表すものは、家族内では長男であり、いずれは家を継いで年老いた両親の面倒を見ながら、墓守をする責任を持っています。また、概念としては、雷という存在であり、天地に轟く雷鳴を聞くと動物も人間も驚きますが、春に響く雷鳴は、自然界に春を告げ、芽吹く春の音としての役割を持っています。雷が大地に落ちることで、その電撃が刺激となり植物たちは、新芽を出します。自然界で発生する雷は、天と地をつなげる架け橋です。天という乾卦と地という坤卦は 震卦という長男により電撃が走る興奮の中で繋がり発奮し活動し、決断を促す役割とも言えます。

【風水】地理風水。大地の測量で洪水を防ぐ夏王朝の始祖王、禹 初めての風水 黄河中流いきにて発生した文化的生活をおこなった部族に、夏王朝がある。夏王朝の始祖王というのが、名前を、娰 文明(じ...

坤卦(こんけ)は、家族内では、母としての立場を持ち、大地に責任を持つ存在です。大地に山や谷、沢という自然が広がり、そこに芽吹く自然の息吹は、天との共存で生まれますが、そこには、新しい存在、天と地の間に繋がるものが必要です。その最も強い絆を与えてくれるのが、第一子という最初の子供です。そのような役割を果たしているのが、震卦であり、長男の役割でもあります。最初の子があたえる興奮、発情は、未来に出発できる一歩といえます。

天と地をつなげる存在が震卦であることは、その間に強い愛情をみることができます。愛情は天地の道理の中に存在しますが、それ以上に天地の道理を超えてしまうこともあり、天地の道理を超えた愛情は過多(かた)となり愛の過剰なやりとりは、油断を生みます。愛は喜びに含まれ、存在を自覚できる唯一の存在であるがゆえに、そこには、天地の道理を踏まえた上での愛のやり取りが必要となります。

この卦は、どっしりと落ち着いた「大地」である母の上に、元気いっぱいの「雷」である長男が飛び出していく姿を象徴しています。長男は家族の新しい風となり、皆をワクワクさせるような計画を打ち立てます。そして母は、その長男の勢いを優しく受け止め、彼が存分に活動できるよう土台を整えます。

母という広大な大地があるからこそ、長男の雷鳴は恐怖ではなく、春を告げる心地よい福音として家族の心に響くのです。長男の「動く力」と、母の「支える愛」。この二つが調和したとき、家庭の中に「豫(よろこび)」の花が咲き誇ります。

愛の解釈:希望を準備し、真心で動く作法

雷地豫における「愛の作法」とは、これから始まる楽しい出来事のために、細やかな「準備」を怠らないこと、そして喜びを自分だけのものにせず、周囲と分かち合うことにあります。

自然現象と家族の触れ合い

春の雷は、大地に眠る種子を目覚めさせる合図です。家族の中で言えば、長男が「今度の日曜日はみんなでピクニックに行こう!」と提案するような場面です。その一言に、次男も次女も、三男も三女も、そして父母も、心がパッと明るくなります。

しかし、本当の愛はこの「高揚感」の後に試されます。目的地はどこか、お弁当には何を詰めるか、誰が何を持っていくか。そうした目立たない「準備(豫)」を、家族を想って丁寧に行うこと。長男の提案を母が形にし、長女が風のように軽やかに手伝う。この「期待を現実にするための真心」こそが、雷地豫が教える愛の形です。

とは、

には様々な意味をもって存在しています。ですが、そこには、宇宙が存在しているシステムを踏まえて行かなければなりません。宇宙は絶えず自己犠牲の上に成り立ち、自己を犠牲になるのも他者が成長してゆくために必要であることが基本にあり、親が子を見て自分より大きく育つことと似ています。そこには喜びと熱意が存在しています。にはそのような喜びとか楽しむという意味合いが存在します。

にはその中でも重要としているのが、楽しむ、懈’(おこたる)あらかじめです。楽しむことは喜びです 懈’(おこたる)は楽しみすぎて箍(たが)を外してしまうことです。あらかじめは、予見、予測といった準備です。物事にうつつをぬかせば油断が起きます。思わぬ失敗を起こすものです。ゆえに楽しむことも良いがあらかじめ予測を立て油断してはならないことを示しています。

「豫」という字には「楽しむ」という意味がありますが、同時に「あらかじめ(準備する)」という意味も含まれています。楽しみや快楽に流され、やるべきことを後回しにしてしまう「怠け心」は、愛の純度を下げてしまいます。

本当の喜びは、自分を律する強さ(石のような意志)があってこそ、長く保たれます。家族全員が笑顔でいられるように、自分の役割をしっかりと果たす。喜びの時こそ、足元をしっかりと見つめることが、愛を永続させるための大切な修正となります。

「豫」という字には、大きな動物である「象」が含まれています。

象がゆったりと歩む姿は、心に「ゆとり」がある状態を象徴しています。また、「あらかじめ」という意味は、何かが起こる前に万全の準備を整えておく慈しみを表します。家族が困らないようにと先回りして心を配る、その「予(あらかじ)めの愛」が、家庭に揺るぎない安心感と満足をもたらすのです。

因果応報、因果律、でわかる人間関係。孔子の示した四徳は、因果応報を善化する。 因果応報 因果応報という言葉を分解してみると、因果と応報に分かれます。因果と言うのは、原因があって結果として現れることは皆さん...

雷地豫(らいちよ)のイメージ

予。利建侯行師。
「予」の時、諸侯を動かして争いを行っても良い。

雷鳴は、光とともに遅れて大きく響きます。結果に対し、喜びは遅れてきます。何かを行う時、喜び、楽しみがついてくるとき、それは、天理に沿って行っているので、心がワクワクして没頭します。才能より、努力より、心の状態が前進していれば、熱を発します。しかし、雷鳴は、人に恐怖を感じさせることもあります。すべて、受け入れられない時、争いもありますが、善であれば、熱意をもって楽しみましょう。

雷地豫(らいちよ)の六爻

雷地豫(らいちよ)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陰、三陰、四陽、五陰、上陰と並んだ状態を雷地豫(らいちよ)といいます。

六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。

上陰 快楽に溺れ、歓楽(かんらく)を求め理性が損なわれる。滅亡する。しかし悔い改めることができれば、咎められない。

五陰 部下や下に実権を握るものがいる。ゆえに、悶々(もんもん)とした日々が続くが、常道(じょうどう)を逸脱しなければ滅びることはない。

四陽 天下の楽しみを実現する人である。その志は人々に受け入れられ目的は達成できるだろう。僭越(せんえつ)になりはしないかと恐れることはない、天下に志を同じくするものが徳を持って多く集まる。

三陰 上司にへつらい、虎の威(い)をかりて得意がる。悔い改めることが遅れるなら永久に悔いを残す。

二陰 道を守ること石の如く固く、怠惰逸楽(たいだいつらく)の非(ひ)を悟り、直ちに怠惰逸楽を避けて、正道(しょうどう)に帰り吉

初陰 上司からの寵愛を受け、言動に度を過ぎた行動が目立つ。驕慢(きょうまん)な心が目立ち人が離れやがて行き詰まる。凶

陰陽五行と気の関係。かたちに宿るエネルギー  宇宙にエネルギーがあるから形ができる。 陰陽五行の、木、火、土、金、水 、森羅万象の中に存在するそれぞれの気の形は 目に見えない...

変卦:愛が動く、変化の法則

易経は、この世に変わらないものは何一つなく、すべての状況は絶えず生成し、変化し続けていると説いています。雷地豫が示す「喜び」もまた、一つの「機(きっかけ)」に過ぎません。その変化をどのように捉えるかによって、私たちの愛はさらなる深まりを見せます。

変化は、私たちがより誠実に人を愛せるようになるための、天からの「愛の修正」なのです。

哲学の提示:喜びは変化の先触れ

喜びは、停滞していたエネルギーが動き出した証拠です。しかし、その動きは常に新しい形を求めています。易経が変易を説くのは、私たちが一つの幸福に執着して歩みを止めてしまうのを防ぐためです。変化を受け入れることは、宇宙の呼吸に合わせること。それは、愛を常に新鮮なものに保つための知恵なのです。

人生の浮き沈みと愛の修正

  • 最高潮の時の変化: 喜びのあまり足元が浮ついているとき、再び謙虚な大地へと立ち返るための「修正」が起こります。
  • 停滞期の変化: マンネリや怠け心に陥っているとき、雷のような衝撃を与えて魂を揺さぶり、再び情熱を取り戻させるための「機」が現れます。

すべての変化は、愛の欠落を埋め、間違った方向へ向かう心を優しく引き戻すために起こるのです。

具体的な変化の提示:四爻が動く時

ここでは、雷地豫の物語を牽引していた力強いエネルギーの源、四爻(九四)が動いた場合を想定してみましょう。

  • 変化後の卦の番号: 第二番
  • 変化後の卦の名前: 坤為地(こんいち)
  • 運気の具体的な変化: 「躍動する喜びの先導」から「すべてを無心に受け入れ育む大地」へ

雷地豫の四爻は、自らが中心となって家族を盛り上げる長男の「動」のエネルギーでした。しかし、この爻が動いて「陰」に変わると、すべての爻が陰となる「坤為地」へと変容します。

これは、今まで「自分がみんなを喜ばせなければ」と力んでいたエネルギーが、より深い次元の「ただ存在するだけで、すべてを許し、慈しみ、育てる」という母性の愛へとシフトすることを意味します。愛の修正としてのメッセージは、「今はあなたが声を上げて導く時ではありません。大地のように沈黙し、家族それぞれの成長を信じて見守りなさい。あなたの無私の受容こそが、今、家族が最も必要としている喜びなのです」というものです。

64卦

周易 上経 30卦

NO六爻上卦下卦
1乾為天 (けんいてん)☰ 乾 ☰ 乾
2坤為地(こんいち)☷ 坤☷ 坤
3水雷屯(すいらいちゅん)☵ 坎 ☳ 震
4山水蒙(さんすいもう)☶ 艮 ☵ 坎
5水天需(すいてんじゅ)☵ 坎 ☰ 乾
6天水訟(てんすいしょう)☰ 乾 ☵ 坎
7地水師(ちすいし)☷ 坤 ☵ 坎
8水地比(すいちひ)☵ 坎☷ 坤
9風天小畜(ふうてんしょうちく)☴ 巽☰ 乾
10天沢履(てんたくり)☰ 乾 ☱ 兌
11地天泰(ちてんたい)☷ 坤 ☰ 乾
12天地否(てんちひ)☰ 乾 ☷ 坤
13天火同人(てんかどうじん)☰ 乾 ☲ 離
14火天大有(かてんたいゆう)☲ 離 ☰ 乾
15地山謙(ちざんけん) ☷ 坤 ☶ 艮
16雷地豫(らいちよ)☳ 震 ☷ 坤
17沢雷随(たくらいずい)☱ 兌 ☳ 震
18山風蠱(さんぷうこ)☶ 艮 ☴ 巽
19地沢臨(ちたくりん)☷ 坤 ☱ 兌
20風地観(ふうちかん)☴ 巽 ☷ 坤
21火雷噬嗑(からいぜいこう)☲ 離 ☳ 震
22山火賁(さんかひ)☶ 艮 ☳ 震
23山地剥(さんちはく)☶ 艮 ☷ 坤
24地雷復(ちらいふく)☷ 坤 ☳ 震
25天雷无妄(てんらいむぼう)☰ 乾 ☳ 震
26山天大畜(さんてんたいちく)☶ 艮 ☰ 乾
27山雷頤(さんらいい)☶ 艮 ☳ 震
28沢風大過(たくふうたいか)☱ 兌☴ 巽
29坎為水(かんいすい)☵ 坎 ☵ 坎
30離為火(りいか)☲ 離 ☲ 離

周易 下経 34卦

NO六爻上卦下卦
31沢山咸(たくざんかん)☱ 兌 ☶ 艮
32雷風恒(らいふうこう)☳ 震☴ 巽
33天山遯(てんざんとん)☰ 乾☶ 艮
34雷天大壮(らいてんたいそう)☳ 震 ☰ 乾
35火地晋(かちしん)☲ 離 ☷ 坤
36地火明夷(ちかめいい)☷ 坤 ☲ 離
37風火家人(ふうかかじん)☴ 巽 ☲ 離
38火沢睽(かたくけい)☲ 離 ☱ 兌
39水山蹇(すいざんけん)☵ 坎 ☶ 艮
40雷水解(らいすいかい)☳ 震 ☵ 坎
41山沢損(さんたくそん)☶ 艮 ☱ 兌
42風雷益(ふうらいえき)☴ 巽 ☳ 震
43沢天夬(たくてんかい)☱ 兌 ☰ 乾
44天風姤(てんぷうこう)☰ 乾 ☴ 巽
45沢地萃(たくちすい)☱ 兌☷ 坤
46地風升(ちふうしょう)☷ 坤☴ 巽
47沢水困(たくすいこん)☱ 兌☵ 坎
48水風井(すいふうせい)☵ 坎 ☴ 巽
49沢火革(たくかかく)☱ 兌 ☲ 離
50火風鼎(かふうてい)☲ 離 ☴ 巽
51震為雷(しんいらい)☳ 震 ☳ 震
52艮為山(ごんいさん)☶ 艮 ☶ 艮
53風山漸(ふうさんぜん)☴ 巽 ☶ 艮
54雷沢帰妹(らいたくきまい)☳ 震 ☱ 兌
55雷火豊(らいかほう)☳ 震 ☲ 離
56火山旅(かざんりょ)☲ 離 ☶ 艮
57巽為風(そんいふう)☴ 巽 ☴ 巽
58兌為沢(だいたく)☱ 兌 ☱ 兌
59風水渙(ふうすいかん)☴ 巽 ☵ 坎
60水沢節(すいたくせつ)☵ 坎 ☱ 兌
61風沢中孚(ふうたくちゅうふ)☴ 巽 ☱ 兌
62雷山小過(らいざんしょうか)☳ 震 ☶ 艮
63水火既済(すいかきせい)☵ 坎 ☲ 離
64火水未済(かすいびせい)☲ 離 ☵ 坎